《 自主防衛への努力を疎かにしてはいけない 

日本が防衛を米国に依存する姿を、古代商業国家カルタゴになぞらえる事はよく知られているが、どこまで似ていると言うのだろうか。確認してみたい。カルタゴと日本のみならず、ローマ帝国と米国の酷似に驚愕する。

地中海に面するカルタゴの初期は、農耕を営む者と、海で働く者との、長い闘争の歴史であった。都市は、主に交易で成り立っていた為、海運の有力者たちが統治権を握っていた。紀元前6世紀に、カルタゴは西地中海の覇者となろうとしていた。

紀元前5世紀初頭より、カルタゴはこの地域の商業の中心地となり、それはローマによる征服まで続いた。カルタゴは、フェニキア人の古代都市やリビアの諸部族を征服し、現在のモロッコからエジプト国境に至る北アフリカ沿岸を支配下に治めた。地中海に於いては、サルデーニャ島、マルタ島、バレアレス諸島を支配し、イベリア半島に植民都市を建設した。

カルタゴは海賊や他国が恐れる強力な海軍力を有していたという。カルタゴの進出と覇権の拡大は、地中海中央部で確固たる勢力をもつギリシアとの対立を増大させた。

紀元前540年頃にはシチリア西半分の領有権を巡り、エトルリア人と組んで、ギリシア及びサルデーニャ人とアレリア沖(コルシカ)で海戦を行い勝利を収めた事が碑文に残されている。それ以外にもギリシアやシチリアとは長らく係争が絶えなかった。

ローマの元老院が取るべき道を議論している間に、カルタゴ軍はメッシーナに到着した。イタリア半島に程近いメッシーナにカルタゴの軍隊が駐屯した事は、ローマにとって明らかな脅威であった。その為、消極的ではあったが、メッシーナをマメルティニの手に戻す為に、ローマはカルタゴと開戦すべく軍隊を派遣した。

地中海世界で有数な国家として栄えていたカルタゴは、紀元前200年頃、軍事大国ローマと第2次ポエニ戦争を戦い敗れて無条件降伏をした。その時の講和条約の内容は次の通りであった。

1、独立は認めるが、本国以外の海外領土は全て放棄する事。
2、専守防衛に限り自衛軍の存続を認めるが海外派兵は認めない。
3、カルタゴ駐留のローマ軍の経費は全てカルタゴが負担する事。
4、賠償金を支払う事。 …等である。(何処かで聞いた話だ)

戦後、カルタゴは経済活動のみに専念し、奇跡の経済復興を成し遂げた。勝ったローマの方は表面的には華やいでいたものの、戦勝国としての国際的責任と義務を抱え込み、財政赤字に苦しむ国家となっていった。

正に、大東亜戦争に敗れて「日本が受けた仕打ち」と同じであるばかりか、打ち負かした日本に「奇跡の経済成長を許し」自国の経済が打撃を受けた米国、「世界の警察官が重荷」になった米国と酷似している。特亜に妬まれている日本を彷彿とさせる。

発展を続けるカルタゴを苦々しい思いで見ていたのはローマの元老院ばかりでなく、他の地中海諸国も同様であった。このままの状態が続けば、世界の富は全てカルタゴに支配されてしまうと恐れをいだいた軍事大国ローマは、いろいろな無理難題をカルタゴに押し付け、それを拒否したカルタゴに一方的に宣戦を布告し大軍を送った。

カルタゴは、仲介をたのむ国もなく、孤立無援の戦いを続け、紀元前145年、遂に全国民玉砕し、カルタゴは完全に滅亡した。カルタゴは、ローマとの関係を重視し、約束を守り、友好関係を続けてきたつもりでいたにも関わらず、ローマ国内にカルタゴに対する嫉妬、憎しみ、苛立ちが満ち溢れていた事に気づかなかった。

既にローマの属国となっていたギリシアは、そのヘレニズム文明がローマ人に敬意をもって受け入れられていた為に、国家としても安泰であった。

カルタゴには、ローマが敬意を払うような文化もなく、充分な軍事力もなく、また、友好国家もなく、唯々 自国の経済力のみを頼りにしてきたのであるが、その経済力が仇となり、ローマの憎しみの前には何の力も持つ事なく、地球上から抹殺された。ローマ帝国との講和後55年目の滅亡であった。

カルタゴの軌跡は現在の日本と吃驚する程そっくりである。我々は歴史から学ぶ必要がある。カルタゴが駄目だったのは防衛を疎かにしてローマに丸投げし、隣国の脅威を放置したからである。巨大な経済力で友好関係を築いたとしても隣国の覇権主義や妬み嫉みを解く事は難しい。カルタゴはローマと友好関係を続けていたが永遠の友好などありはしない。

カルタゴがローマに攻められた時、味方と頼む友好国家が無かったというが、日本は友好国家をつくろうとして、どれほど近隣諸国に経済支援をしてきただろうか。膨大な経済支援で一体何が変わったというのだろうか。支援を受けた中共・韓国は友好国になったとでも言うのか? 感謝するどころか、寧ろ、敵愾心を剥き出しにしているではないか。

経済関係=カネだけでは友好関係を保つ事は出来ない。韓国は「竹島」を不法占拠したままである。東京五輪招致を露骨に妨害した事は記憶に新しいし、今も日本海を東海と呼ばせようと狂奔している。捏造性奴隷話で形振り構わず日本を貶め、結果的に安倍政権は冤罪を受け容れ、国家として謝罪し、国家賠償をしてしまった。それが昨年末の「日韓合意」である。「日韓合意」で韓国国民の反日感情はこれから先無くなるとでも言うのだろうか? 全く日本政府は愚かである。中共は天然資源が埋蔵されていると判明した途端に、今まで一度も領土主張をしなかった「尖閣諸島」を自国領土と言い出し、米国と結託して「南京大虐殺」を捏造・誇張している。

戦後の共産党機関誌『太平洋評論』の編集者にオーウェン・ラティモアという人物が居た。この人物が、ローマ帝国が敗戦国カルタゴに要求した4項目に酷似した内容を日本に要求したのである。

彼の背後にコミンテルンがいた事は後に明らかとなる。ラティモアは戦後天皇制(正しくは皇室制)の廃止を強く主張し、天皇と天皇位継承の資格のある総ての男子を支那に流して抑留し、国連の監視下に置くべきだと主張した。マッカーシズム(赤狩り)で失脚するが、彼の主張通りになっていれば、今頃 日本は無くなっていただろう。

今、日本に必要なのは強固な防衛力の整備と領海・領空侵入者に対する普通の対処(威嚇射撃・撃沈・撃墜)ができる普通の法整備である。日本国は日本人が護る。ただそれだけの当たり前の事を先延ばしにしているのは、余りにも怠惰と言わざるを得ない。10月14日のBSフジ・プライムニュースでは、森本敏 拓殖大学総長・元防衛相と国際問題評論家の古森義久氏が、ケビン・メア氏同席の下、日本の自主防衛に慎重姿勢を示し、日米安保こそが重要であると強調していた。米国に遠慮して自国の自主防衛を疎かにしていると、日本はカルタゴの滅亡と同じ運命を辿る事になるだろう。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。日本人はカルタゴの歴史から学ばなければ生き残れないと肝に銘じるべきだろう。