《中共は人間の尊厳を完全否定している国である。第二のチベット、東トルキスタンを生み出さない為に我々にできる事、それは支那人の最大の弱点である「正義や良心・慈愛」といった彼等が持たない価値観を、彼等と国際社会に問い糾し続ける事である》

東トルキスタン共和国は、テュルク系イスラム教徒によって、20世紀前半に中華民国の新疆省であった中央アジアの東トルキスタン地方に於いて樹立された政権である。今日の日本のマスメディアは、当然の事のように中共の一部として「新疆ウイグル自治区」と呼称する。中共がテロと言えばウイグル人をテロリストと報道する。日本のマスメディアには真実を追求する姿勢は無い。

中共が言う「新疆ウイグル自治区」とは、東トルキスタン西南部のタリム盆地カシュガルを中心とした第1次東トルキスタン共和国(1933年~1934年)、東トルキスタン北部のイリ・タルバガタイ・アルタイの3区を拠点とした第2次東トルキスタン共和国(1944年~1949年)の事である。歴史上2度に亘り、それぞれ別々の地域を拠点として樹立され、いずれも一定の期間、東トルキスタンの一部に於いて「実効的な独立政権」を実現していた。

現在は米国ワシントンに東トルキスタン共和国亡命政府の本部が置かれており、中共を侵略者であるとしている。中共では「東トルキスタン共和国」という名称を使用する事は避けられ、三区革命と呼ばれた。現在は「新疆ウイグル自治区」を省略して、単に「新疆」と呼ぶそうだ。

日本のマスメディアが使用する「新疆ウイグル自治区」「ウイグル族」などの呼び名は完全に中共の立場に立っており、私は間違いであると考える。せめて「東トルキスタン共和国(新疆ウイグル自治区)」と表示すべきであり「ウイグル族」ではなく「ウイグル人」と呼ぶべきである。

----------〈第1次東トルキスタン共和国〉----------
1933年から1934年にかけて存在した第1次の東トルキスタン共和国は、1930年代始めに東トルキスタンを支配していた新疆省政府に対してウイグル人が主体となって現地のイスラム教徒の独立運動を糾合し、タリム盆地西南部のカシュガルに建設された政権である。

1920年代に、第一次世界大戦後のロシア内戦とシベリア出兵の結果、大量のロシア人が中央アジアに流入し、その一部は中国領内に流入してテュルク人社会を形成した。この政権の発足は、これらの人々が傭兵として独立運動に参加し、軍事力を提供した4.12クーデーターが契機であった。

----------〈第2次東トルキスタン共和国〉----------
1945年9月、東トルキスタン軍が、ウルムチへの進軍を始めた為、新疆省政府はソ連に和平の仲介を要請した。「独立国」東トルキスタン共和国の頭越しにソ連と中国国民党政府の直接交渉が行われ、ソ連はアリー・ハーン・トラ主席を自国に連れ去ってしまった。

この結果、東トルキスタン共和国は1946年、ソ連の意思に従って新疆省政府に合流し、東トルキスタン・イリ専署(イリ専区参議会)と改称した。
併し、新疆省政府と東トルキスタン・イリ専署が合同して成立した新疆省連合政府は1年後に崩壊し、副主席アフメトジャンを始めとする旧共和国派はイリ地方に退去して、嘗ての東トルキスタン共和国の領域を再び支配しはじめた。
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1949年、国共内戦を制した中国共産党は、新疆の接収を行う為に、鄧力群を派遣し、イリ政府との交渉を行った。毛沢東は、イリ政府に書簡を送り、イリの首脳陣を北京の政治協商会議に招いた。併し、北京に向かった3地域の11人のリーダー達、イリ首脳陣の乗った飛行機は8月、ソ連領内アルマトイで消息を断った。

首脳を失ったイリ政府は混乱に陥ったが、残されたイリ政府幹部のセイプディン・エズィズィが陸路で北京へ赴き、政治協商会議に参加して共産党への服属を表明した。9月にはブルハン・シャヒディら新疆省政府幹部も国民党政府との関係を断ち、共産党政府に服属する事を表明した。

すると、12月までに人民解放軍が新疆全域に展開し、東トルキスタンは完全に中華人民共和国に統合された。ウイグル族のユルバース・カーンは国民党側についており、中国共産党に対抗する白系ロシアと中国人ムスリムの軍(帰化軍)を率いていた。

1950年、伊吾で国民党軍と人民解放軍の戦闘が起こり、敗れた国民党は中国大陸を脱出する事になった。ユルバース・カーンはチベットを通過してインドのカルカッタへ逃亡しなければならなかったが、チベット軍に攻撃を受けた。カルカッタからは国民党と共に蒸気船で台湾に避難し、ユルバース・カーンが新疆省亡命政府主席に就任した。

ウイグルには独自の歴史文化があり、民族を象徴する文化遺跡が数多く存在した。生活習慣も漢民族とは全く異なる。人民解放軍が東トルキスタンを侵略して以来、中共はウイグル人が心の支えとするウイグルの文化遺跡を次々と破壊し、文化と歴史抹殺を断行している。ウイグルの人々は最低貧困ラインでの生活を強いられている。中国共産党は計画的な移民政策を実施しており、漢族をウイグルに、ウイグル人を漢人の地域に強制移民させている。

ウイグル人たちは沿海地域に連れて来られ、漢人の半分の賃金での労働を強いられる。ウイグル人によれば男性の就業率は僅か5%程という。家族との連絡も監視下に置かれる。中共はウイグル人に洗脳教育を施し、自らの言語で教育を受ける権利を奪っている。僅かばかりの補償だけを与えて、強制的に家や土地を奪ってしまう。北京に訴えても強制送還されるだけであるから、中共の残忍な統治を前にウイグル人たちは為す術もなく民族滅亡の淵に立たされている。

美しいウイグル人女性は本人の意思とは関係なく強制的に漢人に嫁がされる。同族の男性との結婚は許されず、同族間による妊娠が発覚すると、強制的に堕胎させられる。抗議の為に旧モスクに向かって行進する若者が無差別に銃撃された事もあった。一夜にして数百人の若者が姿を消した村もあると聞く。漢人どもは自分たちがどれほど人道に悖る事をしているのか自覚しているのだろうか。

更にウイグルの地では嘗て予告なく原子爆弾の実験が行われ、多くの被爆者を出している。原爆実験は48回にものぼるが、被爆者は満足な治療すら受けられず、奇形児が非常に多いが、写真などの流出は極度に制限されている。(それでも、目を背けたくなる様な写真を、私は何枚も見ている)

中共による67年間にも亘る〈他民族侵略と民族浄化・抹殺の歴史〉は、人類史的に稀に見る残忍極まりない暴挙である。中共のような常軌を逸した国家が常任理事国としてリーダーシップを発揮する国連(連合国)という集団には正義を語る資格など在りはしない。この問題は決して中共の内政問題などではない。国際社会は見て見ぬ振りを即刻改めるべきである。

ウイグル人の土地である東トルキスタンは実に中国全土の6分の1を占める。非漢人地域であるチベット、ウイグル、内モンゴルだけでも全中国の50%を占める。大国を自称する中華人民共和国の真実の国土は、実際は半分以下であるという事だ。

何の根拠も無く優越意識を持つ漢民族は中共を他民族融和の国家と標榜しておきながら、実際には長い年月をかけ中共に「漢人単一国家」を樹立すべく、原住民を抹殺(同化・浄化)する政策を実行している。学校教育では漢人の価値観を植え付け、ウイグル民族の歴史を教えず、教育現場からウイグル語を排除、ウイグル人としてのプライドを踏み躙るような政策を長年実施している。

日常生活に於いても、あご髭やスカーフの着用を禁止するなど、彼らの風習を強制的に禁止したり、ウイグルの伝統的な街並みを破壊して、漢民族の住みやすいように街を改造し、ウイグル民族の歴史的遺跡を徹底的に破壊し尽くしている。
 
漢人即ち支那人は自らの生存圏拡大という欲望を達成する為には、それに逆らうもの、邪魔になるもの全てを敵とみなし、漢人を動員し潰しにかかる。支那人はウイグル、チベット、モンゴルの領土を侵略し、彼等を同化させる事に躍起になっている。

嘗ての有色人種に対する白人たちの残虐ぶりにどこか似ている。人間とはここまで残忍になれるものなのだろうか。ここでは書くに堪えない様な所業を漢人どもは日常的に行っている。女性人権保護団体、人権擁護団体や動物愛護団体、シーシェパードなどがヒステリックに声をあげないのはどういう訳だ。強気の中共が相手となれば、人間の迫害などには興味がないという訳か。

これらの地域に於いて、今正に支那人の邪悪な欲望が達成されつつある。彼等はその生存圏の拡大を海外に向けている。中共の魔手は領土・領海・領空という物理的空間に留まらず、サイバー空間・宇宙空間にまで国際政治のあらゆる舞台に於ける影響力の拡大に向けられている。米国の凋落を見て取った中共は、その邪悪な野心を達成させようとより挑発的になる一方である。今や中共を一国で力で抑え付けられる国は存在しない。
 
日本人はそうした中共の本質を見誤り、余りにも無警戒すぎる。何しろ未だに無償ODAを与えている始末である。我々はウイグルやチベット問題から教訓を学ばなければならない。民族的野望を欲望の趣くままに強引に達成させようとする中共は確実に日本を狙っている。安倍政権の外交は間違っている。『支那人中心の大量移民政策』など以ての外である。我々が今の自分たちの幸せだけでなく、日本人子々孫々の繁栄を願うなら、ウイグルやチベットに漢人が齎らした災厄から中共の本質を見詰め直し、それを対中外交や対中交流に生かしていかなければならない。

中共は人間の尊厳を完全否定している国である。第二のチベット、東トルキスタンを生み出さない為に我々にできる事、それは支那人の最大の弱点である「正義や良心・慈愛」といった彼等が持たない価値観を、彼等と国際社会に問い糾し続ける事である。安倍政権は戦後唯一の価値観外交に重点を置いた政権を標榜しているのではなかったか。欧米が経済利益の為に価値観外交を捨てた今、邪悪な中共を喰い止められる可能性があるのは唯一、日本国だけである事実を肝に銘じるべきである。