《戦勝国、特に米国の悪意の塊である『東京裁判史観』脱却の大いなる意義》

文明国同士の関わりは、1648年に形作られたウェストファリア体制によって始まり、約300年間守られてきた。ウェストファリア体制については日本人には関連の薄い宗教などが複雑に絡み合って少々難解なので詳細の説明は省くが、要するに「戦勝国は敗戦国を戦勝国の都合で裁いたり、一方的に敗戦国を全否定したりする、傲慢な事はしませんよ」と言う国家間の約束事が含まれていた。

ところが第一次世界大戦後、米大統領ウィルソンはパリ講話会議に於けるベルサイユ条約でこの紳士協定を勝手に破ってしまった。勝った国が「絶対善」となり敗けた国に「悪」を全て押し付け、更に苛め抜いたのだ。領土と賠償金を課す事は昔からよくあったが、敗戦国を道義的・倫理的に「悪」と難じる事はしなかった。

敗けたドイツは、アルザス・ロレースという鉄鉱石の約90%を産出していた地区をフランスに割譲。また、石灰が多くとれるザール地方は国際連盟の管理下に入り、ベルギー、ポーランド、デンマークにも領土を割譲。これにより、ドイツはヨーロッパだけでも領土の13%ほど。人口でも10%を失う事になる。

更に、海外の領土、植民地もすべて取り上げられた。軍備も陸軍は10万人まで、海軍の軍艦は10万トン以下と保有を制限された。その上、途轍もない賠償金も支払わされた。1320億マルク(当時のドイツのGNP20年分)も巻き上げられたのだ。

然も、その上ドイツは戦勝国に「悪」と決めつけられたのだから、これでドイツの復活は不可能だろうと言われた。併し、理不尽への怒りが原動力となったのか、元々持つドイツ人の勤勉な資質が原因か分からぬが、後にドイツは復活し、ドイツ国民は民主的な手順を踏んでアドルフ・ヒットラーを生み出した。ヒットラーは嘗てドイツを虐め抜いた欧州諸国を席捲する事になる。

一方、日本はこの時、戦勝国の立場であった為に、旧ドイツの南方の島々の信託統治を任された。この時、日本は米国がふつふつと怒りを滾(たぎ)らせていた事に気づいていなかった。これからアジアの有色人種を支配して、搾取を目論んでいたウィルソンに、有色人種であり見下していた日本人が複数の他国を統治する事を許され、更に事もあろうか「人種差別撤廃」を提案してきたのだから。

然も、後に日本は白人優越主義国家には許しがたい「大東亜共栄圏構想」を描いてみせた。「五族共和」「八紘一宇」「資源の共有」「アジア諸国の独立と対等貿易の実現」…どれひとつとして〈米・英・仏・蘭〉、そして意外にも〈中国国民党〉には受け容れ難い事であった。

中国国民党…漢民族というのは、残虐だが戦略性に優れ、プロパガンダに長けていた。何をどう訴えれば、白人はどう考え、どう動くか、という事を見透かす力は突出しており、現代でも日本人は足下にも遠く及ばない。日本人はそれを、自らの短所を決して忘れてはいけない。

パリ講話会議は戦勝国側が敗者を裁く理不尽が罷り通るという悪しき前例となった。東京裁判に於ける戦勝国、特に米国の悪辣さは尋常ではなかった。あれから67年が経過し、誰もが「歴史」として客観視できる時代が訪れても、米国は過去の罪過を認めるどころか平然と糊塗し続け、これからも認めようとしないだろう。

『人種差別撤廃を白人に持ちかけ・アジア植民地国家群の独立を語り・実際に白人国家 帝政ロシアを打ち果たし・有色人種の身で米国に刃向かった国家』日本を米国政府は憎悪した事だろう。「大東亜共栄圏構想」で、日本は米国からの怒りを買った事だけは確かである。

後に米国によって引き摺り込まれた「大東亜戦争」に於いて、日本は完膚なきまでに米国に打ち負かされ、戦勝国のみが原告・検察・裁判官を務める「極東国際軍事裁判」(東京裁判)で裁かれる事になる。「東京裁判」は〈勝者のリンチ〉としか言えない茶番劇であったが、日本はその茶番劇の〈判決を受け容れる〉事で、サンフランシスコ講和條約を経て、国際社会に復帰する事になる。

私は常に〈『東京裁判史観』からの脱却〉を訴え続けてきたが、裁判行為は茶番であっても、「判決」に関しては国際条約で認めたのだから、それを覆そうとは考えない。併し「東京裁判」が裁判を模した茶番劇であった事だけは末代までも伝えていく事が日本人としての使命であると考えている。現代の韓国と同じように「東京裁判」では〈事後法がでっちあげられた〉。文明国のする事ではないし、表立って事後法を認める国など現代では韓国以外には存在しない。

「東京裁判」は〈東京裁判以前に日本を絶対悪〉と断じ、戦勝国の立場の判断のみで「戦犯」とされた方々を裁いた。繰り返しになるが理不尽な判決であっても日本はこれを認めて国際社会に復帰したのだから、この「判決」は覆せない。併し、忘れてはならない事は、『東京裁判史観』とは現代に生きる日本人に、「ご先祖を悪人と全否定」した茶番であった事である。この考え方に日本人がいつまでも縛られる謂れはない。

この屁理屈で形作られた概念を現代の日本人は絶対に受け容れてはいけない。【先人・ご英霊・ご先祖を「絶対悪」と規定しては、今と将来の日本人の立場は無い。これをしたら将来の日本は勿論、どこの国であっても必ず潰れてしまうだろう。】『東京裁判史観』とは、斯様に単純に〈戦前戦後を善悪二分論で断じる危険思想〉なのである。『東京裁判史観』とは日本の再興を防ぐ為に周到に設(しつら)えられた戦勝国、特に米国の悪意を具現化したものである。

望んだか望まなかったどうかに関わらず、日本は戦争をした。大義もあったが戦争だから悪い事もしただろう。それが誰もが持つ人間の弱さというものだ。重要なのは個々の特例を見てあの戦争の全体像を判断しない事だ。【卑屈に〈戦前を絶対悪〉だなどと思い込んではいけない。日本人はもっと日本に誇りを持つべきだ。】実際、他国に比べてみると日本ほど堂々と先人の行ないと先人が成し遂げた事を誇れる資格を有する国は無い。

参考として以下に「大東亜共栄圏構想」の概略を付する。

----------大東亜共栄圏構想----------
アジア人が「自存自衛を全うし」「大東亜を建設」して「以って世界平和の確立に寄与せん」とするところである。

一つ、大東亜各国は共同して大東亜の安定を確保し、道義に基づく共存共栄の秩序を建設す。
一つ、大東亜各国は相互に自主独立を尊重し、互助敦睦の実をあげ、大東亜の親和を確立す。
一つ、大東亜各国は相互にその伝統を尊重し、各民族の創造性を伸暢し、大東亜の文化を高揚す。
一つ、大東亜各国は互恵のもと緊密に提携し、その経済発展を図り、大東亜の繁栄を増進。
一つ、大東亜各国は万邦との交誼を篤うし、人種的差別を撤廃し、あまねく文化を交流し、進んで資源を開放し、以って世界の進運に貢献す。

「全東亜はいよいよその共同の使命に呈し、一挙不動の信念のもと、その協力を凝集して飽くまでも大東亜戦争を完遂し、再び大東亜に於いて、米英の跳梁跋扈を許さず、以って世界新秩序の建設に協力せん事を期し、右、決議す」。
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以上のように、大東亜共栄圏構想は、当時はもとより現代に適用しても何ひとつ間違ってはいなかった。我がご先祖は斯様な大義を掲げて命懸けで戦ったのである。我が国は、敗戦後一貫して戦勝国と第三国(殊に特亜)、そして現在の文科省が日本国民に教えているような〈悪い国〉などではなかった。日本人が子々孫々に亘って心に止め置き、語り継いでいくべき史実である。