《 日本が領有権主張の時に使う「固有の領土」とういう虚しい言葉 》

尖閣諸島でも、竹島でも、北方領土でも、日本人は「固有の領土」という言葉を好んで使う。間違いとまでは言わないが、国際社会に通用する概念ではない。

日本人は、よく国連(連合国の恣意的誤訳)や米国に、「尖閣は日本固有の領土」と日本の立場を説明するが、説得力を持って聞き容れられているだろうか。そもそも日本が頼みとする米国自体が「固有の領土」なるものを持っていないし、米国人が仮に真面な神経を持っているとすれば、最も聞きたくない言葉であろう。

米国はアメリカ・インディアンを殲滅して広大なアメリカ大陸を我がものとした後も、テキサスを奪い、アラスカを買い、ハワイを武力で盗んだ国である。アメリカ合衆国には「固有の領土」など一つも無い。オバマ大統領が来日した時も、尖閣諸島の「施政権」が日本にあるとは言ったが、「日本(固有)の領土」とはとうとう言わなかった。日本が「施政権」(実効支配状態)を失なえば尖閣諸島に対する「日米安保条約の適用範囲」という言葉は実効性を失なうだろう。

国際社会で日本以外の国が国境線を護る根拠とするのは、「昔から持っていたから」では無く、警備隊を置き、護る事ができるラインであるからだ。軍事力が無く、命懸けで護ろうとする軍隊がいなければ、極容易に侵害され、ひとたび侵害されたら、話し合いでなどでは取り戻せないのが「領土」というものだ。その意味で、米国による沖縄返還は極めて例外的なものだった。

尖閣でいえば、1930年に日本陸軍が測量した証拠が残っているし、それ以前にも日本人が上陸した記録があり、何よりも1968年に「国連のアジア経済委員会」が、膨大な石油・ガスが埋蔵されていると指摘する半年前に中共が出版した地図には「日本の尖閣諸島」と明記されている。「昔から持っていたから」ではなく1968年以前には中共も尖閣諸島を日本の領土と認めていたから「日本の領土で間違いない」のである。中共は第二次大戦後に貪欲に覇権主義を唱える唯一の国である。

また、大東亜戦争に敗戦した事により連合国に召し上げられた台湾も、1968年以前に発行した切手の図柄の中華民国領土から尖閣諸島がぽっかり抜けている。中共も台湾も〈天然資源の膨大な埋蔵量〉に目が眩んで〈嘘〉をついているのである。日本は弱気になって絶対に「施政権」を失なってはいけない。

こうした数々の物的証拠から、日本の正統性に疑いを差し挟む余地は無い事は明白であるが中共は「核心的利益」と言って憚らないし、現実に尖閣諸島の接続海域には常時、人民解放軍の軍艦が遊弋している。これに対して日本は何ら有効な撃退策を取らないばかりか、民間人の尖閣上陸さえ許可しない。「中共を刺激するから」だそうだ。これでは「施政権」(実効支配)の維持も覚束ない。

64年間に及ぶ「腰抜け国家・臆病者国家」から全く成長していない。日本国民を貶めておく事が国益の〈アメリカ様〉の気が変わったら、我が国はどうして領土を護るつもりなのだろうか? せめて〈アメリカ様〉が日本を護ってくれると言っているうちに少しは勇気を出して現状を日本有利に改善してみたらどうか。何もしない現政権が本当に情けない。

安倍政権は内々に「竹島はもう取り戻せない」との結論に達したようだ。確証は無いが、この噂が本当だとしたら国家としては「情けない」の一語に尽きる。「日本の領土」を60年以上も侵犯し続けている国などに援助の手など差し伸べる必要はない。〈法律で親日を罪と規定している国〉など即刻、経済制裁を課していい国である。通貨スワップ協定が自然消滅した途端、日本に報復するとメディアが騒いだ愚かな国だ。だが、我が国は制裁に動こうとしないばかりか隙あらば通貨スワップ再開を望む国会議員が大勢居るのだから呆れる。

昨日(12月15日)は朝からプーチン大統領来日のニュースでもちきりで恰(あたか)も「北方領土」の一部が返還されるかのような騒ぎだが、前述したように一度失なった領土というものはそう簡単には還ってこない。そもそも〈北方領土返還〉の期待感が高まったのは、主要7箇国による経済制裁に疲弊しきったロシアのプーチン大統領が「引き分け」という表現を使って日本に秋波を送ってきたからだ。

北方領土は日本の敗戦により連合国に召し上げられた土地である。サンフランシスコ講和会議で日本は満州、朝鮮、台湾などと同時に北方領土の領有権を放棄させられたが、〈旧ソ連邦はサンフランシスコ講和会議には参加していない〉。従って日本は旧ソ連邦に対しては北方領土の領有権を放棄していない。ロシアが不法占拠している「日本の領土」と言える所以だ。ここで念を押しておくが〈本来の北方領土〉とは「南樺太、占守島(しゅむしゅとう)から得撫島(うるっぷとう)に至る千島列島および北方四島」を指す。日本政府・外務省が長年拘ってきた〈北方四島〉だけではない。

今回の日露首脳会談でも、日本政府が従来から〈本来の北方領土〉の返還要求をしてきたのならば、経済的に苦しいであろうロシア側が北方四島返還という大妥協をする可能性が無いとは言い切れなかっただろうが、〈北方領土の一部でしかない四島返還〉を満額回答とする日本に、プーチン大統領が四島返還に向けて色良い返事をする訳がない。

況してやロシアを忌み嫌って〈ウクライナ問題を先に仕掛けた〉オバマ大統領から、ロシアに好意的ともとれる発言をして、実際に駐露大使の人選や国務長官人事などで対露和解を明確にしているトランプ次期大統領の就任を間近にした今、経済制裁で受け続けてきた経済的ダメージの打開を日本にのみ見出していたプーチン大統領の焦りは随分と緩和した筈だ。この時期にプーチン大統領が結論を急ぐ理由は無くなった。今回のロシア大統領来日で〈領土返還〉の道筋はつかないだろう。

旧ソ連邦は〈日本の敗戦後に「日ソ不可侵条約」を破って日本の背後を侵略〉し、60万人も武装解除した日本兵を極寒のシベリアの地で強制労働に就かせ、そのうち1割も死に至らしめた〈信義に悖る国〉である。他にも敗戦直後に為したソ連兵の数々の所業は不問に付されて良い問題ではない。旧ソ連邦と現ロシアを同じ国と断ずる事はできないが、北方領土の領有をロシアが続けている事は、現ロシア政府が旧ソ連邦の負の遺産も受け継いでいる事を意味している。国家対国家の交渉の場で、果たして日本政府は〈歴史の正義〉という観点から旧ソ連邦およびロシア政府に毅然と抗議をしてきただろうか? 安倍首相はプーチン大統領に旧ソ連邦の犯した審議に悖る行為を一度でも糺した事があっただろうか? おそらくあるまい。

日本が〈歴史の正義〉の名に於いて裁かねばならない相手は、連合国の中でも取分け「米国」「英国」「旧ソ連邦」「中華民国」である。大東亜戦争後に建国された「中華人民共和国」「韓国」「北朝鮮」も裁きの対象として良いだろう。更に裁きの対象から除外してはならないのは国家ではないが「在日韓国朝鮮人」たちである。

「旧ソ連邦」について政治的に重要で微妙な考え方は、意識して現ロシアと旧ソ連邦を峻別する事である。旧ソ連邦に酌量の余地は無いのだから日本政府は毅然と〈歴史の正義〉を語るべきなのは言うまでもないが、過去の蛮行に拘って首脳会談の為に来日したプーチン大統領を一方的に責めるのは非建設的だろう。プーチン大統領が求めるものが日本にあるのは疑いない事なのだから、首脳会談ではそれを積極的に利用すべきだ。一方的に妥協する必要はない。

プーチン大統領はスラブ文化に合った工業化、技術立国化を目指したい。それを実現する為に頼れるのは世界中でただ一国、日本だけである事をプーチン大統領は知っている。そして日本の望みも充分見極めている。ただ抜け目ない人物である事は間違いない。首脳会談では間違ってもプーチン大統領が言う「引き分け」を出発点としない事だ。警戒心を失なわない事は必要な、ともすれば危険な相手ではあるが、ロシアはこれからの日本にとって若しかしたら友好国として付き合える国となり得る可能性を秘めている。

北方領土の返還交渉でも日本の言い分ははっきりと言うべきだろうが、効果の程は期待できない。プーチン大統領の言い分は米国と同じで「日本は戦後世界秩序を受け容れろ」である。国境線を決めるのは、昔も今も「力」である事を忘れてはいけない。領土問題が話し合いで解決される事は極めて稀である。ロシアが相手では尚更だ。両首脳とも国民の思いを一身に受けて交渉に臨んでいる。日本が望む方向で首脳会談が進む訳はない。だからと言って日本だけが落胆させられる必要はない。これから戦略性を持って日露関係を醸成させていけば良い。日本がロシアに接近する事はトランプ政権になっても、米国はあの手この手で妨害してこよう。これから安倍首相の外交力が試される。

結局、日本に必要なのは〈経済力・外交力・軍事力〉を総合した「国力」である。日本が正しいと信じたなら例え同盟国である米国に反対され、最悪の場合、再び経済制裁を受けたとしても二度と国民が飢えない国づくりをしておく事が重要である。現政権はそういう観点から真摯に国づくりをしているだろうか?

嘗て、周恩来(当時)中共首相は日本に対して心にも無い〈名言〉を発した。「忘れる事は出来なくとも、許す事はできる」と。思えばこれを米国や韓国・中共に対して黙々と実践してきたのがベトナムである。何と誇り高い民族だろう。〈真の国力〉を持たない今の日本が言うべき言葉ではないが、本当の「国力」を獲得した暁には、戦勝国に向けても、ロシアに向けても、周恩来首相が遣ったのと同じ言葉を言おうではないか。「忘れる事はできなくとも、許す事はできる」と。今までの無策のツケが回ってきたのだ。今更焦っても仕方がない。腹を据えて〈歴史の正義〉を毅然と語り、その上で〈本来の北方領土〉の返還を要求すれば良い。安易に無駄金を遣ったり、虎の子の先進技術をタダでくれてやる必要はない。ひたすら正道を歩め。