日本国民は真実の近現代史を学ぶ機会を奪われている。義務教育の現場からも、大学教育からも、そして社会人になってからも偽りの情報操作により、日本人としての誇りを奪われ、マスメディアの愚民化工作により自分の頭で考える習慣を奪われている。トランプ新大統領の人物像を日本人の観点から見極めよ


戦後教育を受けた現代日本人の多くは、米国の真実の姿を知らされないまま生きてきた。敗戦後の日本を7年弱あまり統治した連合国軍最高司令官総司令部(GHQSCAP)により、「大東亜戦争」を「太平洋戦争」と言い換えられ、検閲や公職追放例という理不尽な国家的洗脳工作に晒され、戦前戦中の日本は悪い戦争をした国だと言い含められた。教育機関に潜り込んだ敗戦利得者や在日韓国朝鮮人、韓国朝鮮系帰化人などに「自虐史観」「東京裁判史観」に塗れた偽りの教育を施され、同様に左翼や在日に汚染されたマスメディアに囲まれて生活しているうちに、正しい判断ができなくなってしまった。


米国を始めとしたヨーロッパ諸国は、我が国の先人たちが血の滲むような努力をして成し遂げた日本の近代化に目を見張って、初めのうちは警戒心もなく好意的に見ていた時期もあった。併し、白人から見れば日本など所詮は劣った有色人種であり、その劣っている筈の日本人が日露戦争で白人国家ロシア帝国に勝利すると、次第に日本を警戒し始めた。米国が日本を敵視しだしたのは日本が日露戦争に勝利してからである。米国にとって「日本という国家を戦争により壊滅させる」計画立案を決定づけたのは、第一次世界大戦後のパリ講和会議の国際連盟委員会に於いて、日本が「人種差別撤廃の提案」をしたからだという見方ができる。


白人よりも劣った人種である日本人により「人種差別撤廃の提案」を出された事は、当時、世界の有色人種国家の内、植民地化の価値ありとされたほぼ全ての国家を植民地化していた白人たちに「植民地政策をやめろ」と諭すに等しかった。実際、日本にとっては勝利の可能性も無い望まぬ戦争であったとはいえ、もし「大東亜戦争」が無かったならば、未だに世界は白人たちによる植民地支配が続いていただろう。日本人は多くの白人国家から白人たちだけが富める輝かしい未来を奪ってしまったのである。現在の日本人にはこの自覚が殆んど無い。日本人にその自覚が無いからといって、白人国家の側に日本人を疎ましく思う記憶が皆無であるとは限らない。


今、世界は白人国家を中心に大きく変わる一大転換期にある。トランプ大統領の登場が国際社会の価値観の大転換を象徴している。トランプ大統領は「アメリカファースト」以外には、従来の米国大統領が例え口先だけと雖(いえど)も必ず説いてきた「自由・平等・人権の尊重」などの「普遍的価値」には一切言及していない。トランプ氏が見ているのは強欲な商魂による自国の収益だけのように見える。アメリカだけが得をすれば良いという我が儘な商魂である。併し、トランプ氏のこれまでの言動を注意深く吟味してみると、「アメリカファースト」の裏には、職を失ったアメリカのブルーカラーに仕事を与えるという公約の他に、何かどす黒いものが見え隠れしている。


「アメリカファースト」の真意は、「白人至上主義」なのではないか? アメリカを嘗ての白人主導の白人による移民国家につくり変えようとしているのではないかと思えてならない。トランプ氏を支持している白人たちにも、我々の国が異民族によって住み難くされてしまったという身勝手な被害者意識が感じられる。僅か半世紀前にはアメリカの白人はアフリカ系アメリカ人を激しく差別していた。人種差別は今でも時折顕在化している。行き過ぎたリベラル政策への反動はブッシュ~オバマ~トランプへの投票行動にも伺える。アメリカの人種対立の本質が人種偏見だけなのかどうかは疑ってみるのは必要だが、アメリカという国に於いては、公民権運動の後のバッキー訴訟などの揺り戻しを警戒してみる事は重要だろう。


バッキー訴訟とは、1972年にアラン・バッキー(Allan Bakke)がカリフォルニア州立大学を相手に起こした訴訟事件の事。白人男性の入学希望者であるバッキーは、カリフォルニア大学デイビス校メディカル・スクールに二度に亘って入学を認められなかった。併し、彼よりも成績の平均値が低い黒人の入学希望者が、同じメディカル・スクールに入学を認められていた。バッキーは大学側が affirmative-action program (差別撤廃措置計画)を理由に自分の入学を拒否し、自分より成績の悪い黒人受験者の入学を認めたのは白人に対する逆差別だと主張した。


1978年連邦最高裁はバッキーの訴えを認め、2種類の判断が同時に示された。則ち人種という要件は、大学が入学者を選抜する上でのひとつの要件となり得る。併し、デイビス校が16%という具体的なマイノリティ枠を維持している事は違法であるという2つの判断である。その結果バッキーはデイビス校メディカル・スクールへの入学を認められ、実際に入学して卒業している。


バッキー訴訟が揺り戻しの小々波(さざなみ)とすれば、トランプ大統領の登場は途轍もない未経験の大波である。ブッシュ~オバマ~トランプへの投票行動が大波の予兆とすれば、実際にトランプ大統領が当選した事は一大事である。トランプ新大統領が暗に志向しているのが「白人至上主義」だとすれば、これは非常に危険な一大潮流が現れたと認識する必要がある。不愉快な事に同様な政変がヨーロッパでも胎動している。訪米中の安倍首相がこの観点に気づいておられるかどうかが気にかかる。トランプ新大統領は日本にとって、ともすれば巷間言われている以上に危険な人物である可能性が高い。これは通商政策のみならず、マチス国防長官が太鼓判を押した安全保障政策にも影響してくる問題である。