トランプ政権の誕生は今迄の米国のアジア戦略を一変させる可能性を秘めている。日韓両国ともに正しい歴史観と地政学的宿命の観点に立って自国存立を図っていかなければならない


私は「日韓合意」には一貫して反対してきたが、そうは言っても「日韓合意」は〈国家間の約束事〉である事に変わりはない。予想通り韓国政府と韓国国民はその国家間の約束を反故にして、ソウルと釜山の「性奴隷像(高給取りの追軍売春婦像)」を撤去するどころか、「慰安婦問題」を蒸し返し、「徴用工」「竹島」「東海」をも持ち出して反日挑発を益々過熱させている。1月には平昌冬季五輪の公式HPで竹島(島根県隠岐の島町)を「Dokdo」と記載して韓国領である事を国際社会にアピールする計画を露呈した。「オリンピックに政治的主張を持ち込むのはオリンピック憲章違反」であるとして日本政府が外交ルートで抗議したが韓国側は意図的に無視。220日には、韓国外交部はHPで、日本海を「東海」とPRする動画を公開した。


「東海」のPRは一部では既にかなり浸透している。トランプ氏が大統領になって初めての日米首脳会談の最中に北朝鮮が日本海にミサイルを落下させたが、それを報じたCNNの女性キャスターは日本海とは言わずにはっきりとEast Seaと報じた。併し、日本政府・外務省がこのCNNの間違った認識に抗議した形跡はなく、またこれを問題視した日本のマスメディアも私の知る限り皆無である。こういう事を根気強く抗議し続けなければ、やがて日本海は「東海」とされてしまうだろう。


韓国政府は今、朴槿恵大統領の弾劾訴追事件で機能不全中だが、野党の動向はこの混乱に乗じて常識という抑えが効かなくなっている。「日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)」の破棄や、トランプ米政権が重視している「高高度ミサイル防衛網(THAAD)」の配備取り止めを打ち出しており、反日だけでは飽き足らず、反米まで叫び始めた。次期韓国大統領は野党勢力出身者になる事はほぼ確実だから、これはもう韓国の末期的症状と言って差し支えない。 


正しい歴史観を持ち、その歴史を冷静に顧みれば明白なのだが、〈韓国が独立を維持していく為には、米国と日本の協力は欠かせない〉。どちらにそっぽを向かれても困るのは韓国である。日米両国を同時に敵に回せば、韓国は自滅するしか道はない。 歴史を散々捏造してきた韓国に「歴史を学び直して顧みよ」と言っても聞く耳は持たないだろうが、冷静に朝鮮半島の地政学的立場を考えれば、朝鮮半島の危うさは容易に理解できる筈である。


韓国人の創作した妄想史観では韓国には半万年の歴史があるそうだが、史実としては国際社会で朝鮮が独立国家として認められたのは1895年の事である。その時、朝鮮を国家として独立させたのは、今の韓国人が異常に対抗心と敵愾心を滾らせる日本であった。清国にも日本にも夫々の国益を最優先した思惑は勿論あったが、日清戦争の契機となったのは、李氏朝鮮の〈金弘集政権の依頼により日本が清国の軍隊を排除にかかった〉からであった。


日本の思惑としては、朝鮮から宗主国清国の影響力を排除して日本の権益を増大させたかった。序盤の戦闘に大勝した日本は欲をかき、清国からの領土割譲も狙い、台湾と遼東半島を獲得した。その結果、清国は多額の賠償金で疲弊した。それを見て日本の勢いに恐れをなした朝鮮王はアジアでの権益を狙うロシア帝国を自ら招き入れてしまった。

   

原朗(はら あきら)は自身の著作「日清・日露戦争をどう見るか」の中で「ある戦争の本質は、その戦争の帰結としての講和条約に最も明確に示されています」と書いている。戦争目的を果たすには、得たかったものを講和で要求する事になるから、戦闘で圧倒した日本側が日清講和条約(下関条約)に盛り込んだ事に当時の日本側の戦争目的が存分に現れている。〈講和条約の第一条には勝利した側の第一の戦争目的が現れる〉ものなのだ。


日清戦争に勝利した日本が、清国との講和条約である「下関条約」の第一条で要求したのは、朝鮮の清国からの独立であった。日清講和(下関)条約の第1条には、以下の通り明記されている。 

第一条「清国ハ朝鮮国ノ完全無欠ナル独立自主ノ国タルコトヲ確認ス」

そう、〈日本の戦争目的の最優先事項は朝鮮の清国からの独立であった〉のである。


国家が戦争に訴えた理由を後の世代が語る時、細部のエピソードを抜き出して侵略戦争だとか自衛戦闘だとかと短絡的に善悪を導き出そうとするのには意味がない。都合の良いところだけを継ぎ接(は)ぎしても、戦争全体の説明にはならない。「下関条約」から見える事は、日本が何よりも朝鮮の独立を望んでいた事実である。


当時の日本としては「独立自主の国」になった朝鮮に、〈欧米列強の侵略に対して共に立ち向かう「同志」になって欲しかった〉。併し、その期待は無残にも裏切られる。朝鮮には、当時の朝鮮を取り囲む大国の意思が全く見えていなかった。


朝鮮は1897年、「大韓帝国」を名乗ったが、その後も権力闘争に明け暮れ、国王一族はロシアと結び、わざわざロシアの影響下に入って反日を煽った。斯くして満洲から朝鮮半島へと南下してきたロシアと我が国は、朝鮮半島の支配権を巡って「日露戦争」を戦う羽目になり、日本は辛うじて勝利した。


その後「韓国併合に関する条約」が1910829日に公布された。〈日本は大韓帝国と国際法に則って併合条約を締結した〉が、そもそもその併合は清国やロシアに武力侵略されそうな危機的状況だった〈朝鮮側が度々日本に併合を懇願してきた〉ものであり、現在の韓国はこれを必死で否定しようとしている。


当時の朝鮮(大韓帝国)はアジアでも最も貧しく遅れた国であり、学校も警察署もなく、平均寿命も二十代後半で、入浴の習慣も、上下水道もない悪臭漂う不衛生な未開の蛮国だった。一方日本はその頃から清国やロシアより強かった。当時は戦争が国際法で合法的に認められていたので、日本が仮に朝鮮を我がものにすべく侵略する気であったなら、〈いちいち朝鮮半島の原住民の承認を得る必要などなかった。ただ単純に武力で制圧すれば済んだ。それが当時の合法的な方法だった。〉


併し、日本は欧米列強諸国の承認の下に、正式に日韓両国の同意を書面にして調印した。勿論、併合は大韓帝国議会も大韓帝国皇帝も公式に批准・支持したし、米国や英国などの列強諸国もそれを歓迎・承認した。〈日本人は「白人が土人扱いしていた朝鮮人」を人間として、同胞として扱った〉のである。当時ここまで「平和的・合法的な併合」は世界的にも類を見ない。


そして併合により朝鮮半島は日本の一部になったので、〈日本は自国の内政の一環として莫大な資金と人的資源と技術を投じ〉て朝鮮半島の発展、繁栄に尽くした。『当時日本国民だった朝鮮人の為に日本政府と日本人は最善を尽くしたのである。』


李氏朝鮮時代、朝鮮全権大使として米国に渡った李成玉という政府高官が他民族に接して、朝鮮人は米国人に軽蔑されているインディアンより劣り、その他メキシコ、インドなどの民族より劣っている実態を知り、衝撃を受け、次のように述べている。


『現在の朝鮮民族の力量を以ってすれば、とても独立国家としての体面を保つ事はできない。亡国は必至である。亡国を救う道は併合しかない。そして併合相手は日本しかない。欧米人は朝鮮人を犬か豚のように思っているが、日本は違う。日本は日本流の道徳を振り回して小言を言うのは気に入らないが、これは朝鮮人を同類視しているからである。そして、日本人は朝鮮人を導き、世界人類の文明に参加させてくれる唯一の適任者である。それ以外に我が朝鮮民族が豚の境涯から脱して、人間としての幸福が受けられる道はない。日韓併合が問題になるのは、変な話だ。我輩の併合観は欧米人の朝鮮人観を基に考察したのだ。』

(朝鮮全権大使 李成玉 『李完用侯の心事と日韓和合』)

 

併し、〈当時は歓迎し、大喜びしていた日韓併合〉も、今の韓国にとって甚だ都合が悪い歴史になってしまった。


〈自分達側から併合を希望した事を認めてしまうと「当時の朝鮮が世界で最も貧しく遅れていて弱かったという、韓国人のプライドを傷つける恥ずかしい過去を認める事になる」為、「日本が朝鮮の親日内閣に強要して我が民族の国権を強奪した」という希望に基づく捏造を自国の教科書に書いて国民を欺き、そしてほぼ総ての国民に信じ込ませている〉のである。併し、〈日本となった朝鮮が70年ほど昔に、日本と共に米国や支那と戦争した史実〉は、誰にも否定できるものではない。


日本は朝鮮人と共に戦った先の大戦、「大東亜戦争」で敗北した。そして米国は、日本の敗戦から3年後に韓国を再び独立国にする事を決定した。 〈朝鮮は日本からではなく米軍の軍政終了と共に、米軍から独立を果たした〉のである。


その後、朝鮮戦争に於いて北朝鮮に攻め込まれ亡国寸前に追い込まれたが、米軍を中心とした国連軍の奮闘と日本の兵站補給のお陰で韓国は何とか独立を維持し、その後も米国と日本を後ろ盾にしながら、〈主に日本の支援を受けて〉現在のような経済的発展を築いてきた。韓国人ご自慢の 「漢江の奇跡」の原資は日本からの経済援助である。


近現代史を見れば、韓国が独立を危なげなく維持できた時期は、日本の経済力と米国の軍事力が大きな活力を持ち繁栄した時期に符合する。この朝鮮半島を近隣の大国から独立させていたこれまでの国際環境が今、大きく変わろうとしている。 


米国は「世界の警察官」を辞めてしまった。日本も現行憲法の制約の為、軍事的には弱体のままで当面は変わろうとしないだろう。その一方で、中華人民共和国は今や東支那海だけでなく、南支那海まで実質的に支配下に置いた。北朝鮮は核兵器開発に狂奔し、韓国の次期政権は間違いなく北朝鮮のシンパである。 


韓国が中共政府の属国、または北朝鮮の支配下に入る事を望まないのなら、韓国政府は必死になって米国との軍事的関係を強化し、日本との経済協力関係の改善に努めなければならない筈である。 併し、現実の韓国は、左派マスメディアの反日反米宣伝に踊らされ、米国との軍事同盟を弱体化させ、過去の妄想を蒸し返して日本を敵に回している。このままだと韓国は再び後ろ盾を失って北朝鮮、中共の影響下に落ちていく事になるだろう。 


トランプ米政権は、韓国を見捨てる可能性がある。このままだと、朴政権の次は反日・反米政権となるが、米軍にとって重要なのは韓国ではなく日本である。中共海軍を封じ込める為にも日本列島を防衛ラインとして死守する計画だろうが、それに反して朝鮮半島は米国にとって死活的に重要とは言えない。 


日本列島が防衛ラインとなるという事は、日本列島が戦場になる可能性を意味する。冷徹な米国としては、日本列島が戦場になろうとも、それで中共海軍を抑え込めればいいのである。〈日本を護るのは日本の問題であり、韓国を護るのは韓国の問題なのである〉。それがトランプ新大統領が掲げる「アメリカファースト」なのである。日本は勿論、韓国もこの冷徹だが合理的な米国の新アジア戦略を理解し、危機に備える必要がある。