《 日本の事は米国が護ってくれるなどと言う幻想は捨てて、自分の国は自分で護れる国にならなければ、日本は本当に滅んでしまう。善良な日本国民は「危機意識が薄い」と言う一点で日本国にとって善良な存在とは言えない 》


「日本は思考停止している」との論をよく聞く。そして米国もまた長年に亘って「思考停止」している。米国支配層の極一部は思考停止から抜け出す兆しを見せたものの、それは2015年9月の「世界の警察官役を辞める」と宣言したオバマ元大統領の決断に表れてはいたが、オバマ氏自身は相変わらず「戦後世界秩序」なるものからの必然的決別を自覚していた訳ではないようだ。


米国支配層の大部分は思考停止状態から未だ目醒めていない。彼等の所謂「戦後世界秩序」とは、中東・欧州・東アジアの覇権を意味するが、米国がこの三地域を支配すると決めたのは1945~1947年頃で、当時の米国の経済力は世界の50%、世界経済の民間資本の70%、世界全体の金の3分の2を保有していた頃だ。


併し、現在の米国の経済力を購買力で見ると世界全体の16%にまで縮小している。それに対して中共の経済力は17%といわれており米国を上回った。然も米国は世界最大の借金国である。米国の経済力16%は現在も巨大な数字である事に変わりはないが、世界の50%を占めていた時代と同じ支配体制を維持し続けられる訳がない。併し、戦後世界秩序、世界支配体制という意味に於いては、米国支配層の大部分を占める者たちの時計の針は1945年から一秒も進んでいない。


既に米国は、大きな軍事的二方面作戦は不可能との結論を出している。中東で軍事作戦を展開しながら、アジア地域で中共と事を構える事など、とっくに放棄しているのだ。2010年の時点で、キッシンジャー氏の側近であるデイビット・ゴンパース氏は米国の実力ではもう中共とは戦争はできないと結論づけている。1971年にキッシンジャー氏は中共の周恩来首相と手を結び、所謂「瓶の蓋論」で日本を抑え込んでいるうちに、中共の〈100年マラソン〉を許してしまった。


そもそも米国とは、日本に対する警戒心だけは人一倍強い癖に、支那に対しては一貫して寛容な政策をとってきた。歴史的に米国人は支那に幻想を抱いている者が多い。大東亜戦争の開戦に日本を追い込み、中国国民党の蒋介石を援助した結果、蒋介石は大陸から追われ支那大陸には中華人民共和国ができてしまった。1972年の米中国交正常化以来、歴史的に米国は、自由と平等、人権を尊ぶと言いながら、日本よりも明らかに米国の理想に反する共産党による一党独裁政権である中共にシンパシー(Sympathy)を抱いてきた。


長年米国を牽引してきた実力者であり、93歳の今尚トランプ政権に影響力を行使しようとの意欲満々なキッシンジャー氏は、1971年に中共の周恩来首相との間で秘密裏に行なわれた会談で日本の事を以下のように評している。(『周恩来・キッシンジャー機密会談録』岩波書店より)


「日本人は、他の人々の態度に対する感受性が鋭敏ではありません。日本人の文化的な求心性の為です。私がこの事をお話するのは、この日本人の特性は、彼等を相手にしなければならない全ての者に特別の責任を強いるからなのです。あなた方も我々もです。日本を増強し続ける事は可能であり、やがて日本は我々が好むような政策を全精力をあげて追求するだろうと考えるアメリカ人を、私はいつも極めてナイーブだと信じてきましたし、今でもそう信じています」「私は日本に対して幻想は抱いていません」


キッシンジャー氏の言う「ナイーブ」とは、「繊細な」と言う事ではなく「愚鈍な」とか「愚かな」と言う意味だ。彼は若い頃から一貫した反日主義者である事が分かる。


更に、キッシンジャー氏は「我々は日本の核武装に反対します」「我々は日本の通常兵器が、日本の四島を防衛するのに充分な程度に限定する事が好ましいと考えています」「我々は日本の軍事力が、台湾や朝鮮半島、またこれまでの協議で指摘した他の地域であれ、どこに対しても膨張する事に反対します」と述べている。


キッシンジャー氏は、日本の新たな歴史は1945年の敗戦から始まったとは考えておらず、戦前とは正反対というのも幻想だと考え、「もし日本が再膨張し始めたら他の国と共に日本の力の膨張を阻止するでしょう」とまで語っている。これが日本が最友好国にして心強い軍事同盟国と一途に信頼を寄せる米国の本心なのである。


そんな米国が、自由社会の敵、所謂イスラム国問題を抱えながら、中共の尖閣諸島侵略から日本を防衛してくれる事など期待していて良いのだろうか?  中共を含む、日本以外の主要国は、この事にとうに気付いている。先頃来日して「尖閣に日米安保第5条が適用される」と明言したマティス米国防長官の言葉に安堵した安倍政権や日本のマスメディアには事の本質が見えていないのではないだろうか?


今の中共には瞬時に日本を壊滅させる力があり、中共内部の高官たちは日本壊滅を公然と論じている。実行を躊躇わせているのは、限定戦に於いて日本の海空自衛隊の実力が侮れないからだ。勿論、動くかどうか分からないものの、沖縄に駐留する米軍への恐れもあるからだろう。


これからの10数年で、中共が自滅崩壊する可能性が全くないとは言えないが、中共崩壊が約束されている訳でもない。恐らく中共は生きながらえるだろう。その間、米国の経済力、軍事力は恐らく衰退していく。トランプ新大統領は米国の軍事予算約6000億ドルを17年度の約1割にあたる540億ドル(約6兆円)増加させると明らかにした。


併し、兵士の給料、軍事技術開発費、退役軍人への手当などが年々増加する中での総予算の1割増では、中共の覇権主義を思い止まらせるには不充分である。勿論、オバマ元大統領の軍事費据え置きという実質削減よりは日本としては頼もしいところだが。


そうした現実に直面するも、米国は日本の自主防衛を決して認めはしない。つい最近まで中型飛行機の開発さえ日本は禁止されていた。米国は1945年以降に設定した「仮想敵国」を未だ堅持している。即ち、ロシア(旧ソ連)、中共、ドイツ、日本の四箇国である。


話は逸れるが、米大統領ルーズベルトと英首相チャーチルは1941年8月に、ニューファンドランド島沖の船上で、大戦後は「日本を永遠に武装解除」しようと約束している。真珠湾攻撃の4箇月前の会談でである。


ロシア、中共の核保有は止められなかった。北朝鮮、イランの核開発も止められない。併し、ドイツと日本には核保有を認めない。中共、韓国、北朝鮮が核を保有したとしても日本だけには絶対に認めない。米国は日本に対しては格別の恐怖心とも敵愾心とも言える警戒感を抱いている。これは国務省、国防総省、そして民主党・共和党に関わらず、歴代政権の総意である。


オバマ政権時代によくマスメディアに登場した、R・アーミテージ、M・グリーン、J・ナイ、K・メアの知日派4氏も、集団的自衛権には賛成したが、日本の核武装には強硬に反対した。飽くまでも知日派であって「親日派」ではないのだ。寧ろ彼等は「反日派」と言って間違いない。「文明の衝突」の著者、故サミュエル・P・ハンティントン氏は、嘗て100~200発の核を持てば(日本の)自主防衛は完結すると言った。


一方で、中共やロシアは、「日本が核武装しようとしたら地球上の地図から日本を消し去る」とまで公言している。安倍首相と信頼関係を築いたと言われているプーチン大統領でさえも過去にはこんな発言をしていたのである。


中共は必要以上に年々軍事予算を増加させていく。局地戦に於いても自衛隊を凌駕する日はそう遠くない。米・中の軍事費拮抗が逆転するのは時間の問題ではなく、南支那海・東支那海に限って言えば過去の問題なのである。反日左翼、良く言って平和主義者が言う所の平和憲法に護られている日本の将来はどうなっているのだろうか? 生き延びる為に、今、思考をフル回転させなければならない。そして、自明の結論「核武装を含む自主防衛」の必要性に気づくべきである。


100発の核を日本が保有すれば、中共は日本壊滅を諦めざるを得ない。日本は特亜三国、特亜三国系帰化人、在日韓国朝鮮人、反日左翼、現実を受け容れようとしない善良な日本人たちの猛反対を受けようとも、そして米国の脅しや経済制裁を受けようとも、今こそ「核武装を含む自主防衛」への歩みを進めるべきである。猶予期間など既に無くなっている。上手く、仲良くやっていく事だけが外交ではない。